どんな病気?

「目の乾燥」によって、眼の痛みや乾燥感、目の充血などが出現します。悪化すると、目の表面が荒れてくるため、まぶしさや見えにくさ、視力の低下も起こります。

パソコンやスマホなどの生活環境変化によりドライアイの人は増加傾向にあり、ビジネスマンの約1/5~1/3程度は何らかのドライアイによる症状を自覚しているといわれています。

またコンタクトレンズの使用はドライアイによる症状を誘発する傾向があります。

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ドライアイの原因は?

ドライアイは目の乾燥によってさまざまな症状を起こしますが、「目の乾燥」はどうしておこるのでしょうか?

主な原因として1)単純に「涙が少ない」、2)涙を構成する成分のバランスが悪く「目が乾きやすい」などが挙げられます。

そのほかに、アレルギー性結膜炎や翼状片などほかの病気によって目の表面の状態に問題がある場合も目が乾きやすくなり、「まぶたと目の表面の摩擦」が増える結果、ドライアイの症状を自覚しやすくなると考えられています。

さらに瞬きの頻度も目の乾燥具合を左右します。通常の状態では、目が乾くと反射的に瞬きをすることで表面は目の涙で覆われます。しかしパソコンによる作業やスマホの操作中など「瞬きが減少する」ような状況では目の表面に涙が補充されるスピードよりも涙が蒸発するスピードが速くなり、結果として目が乾いてしまいます(VDT症候群)。レーシックを受けた方の場合は目の表面の感覚が低下していることが多く、目の乾燥を感じにくいために目が乾いても瞬きの頻度が変わらず、ドライアイの症状がでやすくなります。

涙の3つの成分とは?

涙は3つの成分から構成されています。目の表面側(角膜側)からムチン層、水層、油層の順に並んでいます。ムチンは結膜の胚細胞から、水は涙腺から、油はまぶたにあるマイボーム腺からそれぞれ分泌されます。これらの3つのバランスが崩れると涙の安定性が崩れ、目が乾きやすくなります。

ドライアイの検査は?

診断基準に定められた検査は以下の三つです。

1)シルマー試験 目に検査用の濾紙を挟み、5分間でどのくらい涙がでるか調べます。

2)涙液層破壊時間(BUT) 目の表面がどのくらいの時間で乾くか調べる検査です。

3)染色試験 目の表面(角膜や結膜)を色素で染色し、表面の荒れ具合を評価します。

さらに細隙灯と呼ばれる装置で目の表面に問題がないか、まぶたの形状や状態、マイボーム腺の状態をチェックし、症状の原因を探ります。

これらの検査の結果、1)涙液減少型 2) 蒸発亢進型に大別されます。両者が混在していることも少なくなりません。

蒸発亢進型では涙液層破壊時間(BUT)が短くなり、涙は出ているのに目が乾きやすいという状態です。自覚症状が強く出やすい傾向があります。

ドライアイの治療は?

おもに点眼薬で目の状態を整える治療が中心です。ドライアイ以外の問題がある場合は同時に治療を行う必要があります。

点眼薬 足りない涙を補う人工涙液、涙の安定性を改善するタイプの目薬があります。

人工涙液ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は文字通り足りない涙液を補い、眼に潤いを与える目的で処方されます。

涙の安定性を高める目薬はジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス、参天製薬)とレバミピド点眼液(ムコスタ点眼液UD、大塚製薬)です。いずれも涙の成分であるムチンの分泌を高める作用があり、しっかり点眼する回数を決めて使用すること涙の安定性を高めることができます。

涙点プラグ 涙が鼻に抜ける通り道を主にシリコン性の小さな器具で閉鎖し、目に涙をたまりやすくする方法です。暖めると固まるコラーゲンを使用するタイプのものもあります。涙液減少型のドライアイに特に有効です。

点眼薬を使用する上での注意点

点眼しすぎに注意

手を洗いすぎると皮膚ががさがさになるように、目も点眼しすぎると逆に表面があれる原因になります。人工涙液やヒアルロン酸ナトリウムの点眼液は点眼の回数が多くなりがちです。

いつもしみない目薬がしみてつけられない….

目の異物感や痛みなどを感じる場合はすでに目の表面(角膜)が荒れている状態であることが多く、普段はしみない目薬もしみやすくなります。このような状態になってしまうと、点眼してもあまり効果は期待できません。

点眼薬の種類や点眼回数を調節し、自覚症状がでないように目の状態を整えておくことが重要です。

よくある質問

  • 点眼してもすっきりしません。ほんとにドライアイ?

    目の違和感は複数の問題が組み合わさって自覚されることが少なくありません。

    目の充血や異物感はドライアイ以外の病気でも出現することがあり、たとえば見えにくさや眼の疲れは眼精疲労でも認められる症状です。ドライアイ以外の要素も見逃さず、治療を行う必要があります。

  • ドライアイの治療は続ける必要がありますか?

    ドライアイの症状は生活環境や季節によっても変化します。

    症状の強さに応じて適宜、治療の内容を変えていきましょう。

    完全に治す、というよりも少しだけでも良くなった、という状態を積み重ねていくことが大事です。

  • マイボーム腺機能不全といわれたことがあります

    マイボーム腺はまぶたのふちにあり、涙の油層の成分を分泌します。この油は冷えるとすぐに固まってしまうため、寒くなるとの腺がつまるマイボーム腺機能不全となりやすくなります。その結果、ドライアイの症状が出やすくなります。

    お化粧をする女性の方はこの部分が化粧品で詰りやすくなっていることもあるので日ごろからまぶだの清潔を保つことが重要です。また、温庵法(おんあんぽう)といって、まぶたを暖めて軽くマッサージすることで、詰ったマイボーム腺の流れを改善する方法もあります。一部の眼科で行われており、また自宅でも市販のホットアイマスクや入浴時にお湯で温めたタオルを使用することで簡単に試すことができます。

  • 手軽に始められるドライアイ対策は?

    まず風が目に直接当たらないような工夫をしてみましょう。

    職場や自室のエアコンの風が顔に当たらないよう、風向きをスイングさせたり、机の向きを変えてみるとよいでしょう。

    メガネも有効です。普段メガネをかけていない人でも、度なしのメガネでも目に風が当たることを防ぐ効果を期待できます。最近ではドライアイ用のメガネも販売されていますね。

    上に挙げたマイボーム腺機能不全を防ぐために、自宅でまぶたのマッサージを試してみても良いと思います。

  • コンタクトレンズをつけると目が乾いてしまいます

    装用感の良いソフトコンタクトレンズは涙を吸収し、レンズのうるおい感を保ちます。そのため、レンズによってはドライアイの症状が出やすくなることがあります。

    日ごろからドライアイ用の点眼液(防腐剤の入っていないもの)を使用し、それでもだめな場合はコンタクトレンズを別の製品に切り替えることが必要となることもあります。

  • 治療をしてもまぶしくて目をあけられません

    あまり頻度は高くありませんが、ドライアイの治療を受けても「まぶしさ」や「目があけていられない」などの症状が改善しない場合は、「眼瞼けいれん」という病気を疑う必要があります。

    「眼瞼けいれん」自体、ドライアイを合併していることが多いことが知られています。

  • サプリメントは効きますか?

    最近、マウスのドライアイモデルを使用した実験である種の乳酸菌が涙液の分泌量の低下を抑えたことが確認され、ドライアイ用のサプリメントが発売されました。
    ご希望の方は受診時にお尋ねください。

  • 目だけではなく、口も乾きます…

    目の乾燥、いわゆるドライアイの方で(とくに女性)、口が乾く、虫歯が多いなどの症状のある方はシェ―グレン症候群と呼ばれる膠原病の一種を疑う必要があります。

  • ローズ・ベンガル試験のこと

    特殊な染色液で目の表面を染色し、角膜・結膜の上皮障害の状態をスコア化し、チェックする方法です。

    ただし、

    「ローズベンガルの染色スコアは,シェーグレン症候群の診断基準にも用いられているが,点眼後の疼痛を訴える例が多く,特に光毒性が強いため日常診療には用いにくい」 ドライアイ診断基準2006年より

    角膜上皮障害を調べる方法は他にもあり、通常の外来診療の際はフルオレセインという試薬で行う蛍光色素試験を行うことが多いです。

    シェ―グレン症候群の診断基準でもローズベンガル試験での結果の代わりに、蛍光色素試験の結果を判定に利用することができます。